共有持分だけ売れる?兄弟が反対・連絡が取れないときの4つの道
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親の家を兄弟と共有で相続し、自分は売りたいのに反対されている、あるいは共有者と何年も連絡が取れない。同意がなくてもできることと、できないことを分け、自分がどの道から当たればよいかを決められるようにまとめました。
この記事の結論
- 家と土地の全体を売るには、共有者全員の同意が要ります(買取業者の公式サイトも同じ説明)。1人でも反対すれば、全体では売れません。
- 自分の持分だけなら、ほかの共有者の同意がなくても売れる、と共有持分を買い取る業者の公式サイトが案内しています。ただし、買った業者が兄弟と共有する形になるため、関係への影響を先に考えておく必要があります。
- 共有者の所在が分からない場合は、2023年4月から、地方裁判所の決定でその人の持分を取得する制度などが使えます。相続で共有になっていて遺産分割が済んでいない持分は、相続開始から10年たたないと使えません(法務省・裁判所)。
- 話し合いで決まらないときは、遺産分割が済んでいなければ家庭裁判所の遺産分割調停、済んでいれば裁判所に共有物分割を求める道があります。どれを選ぶかは、弁護士・司法書士に相談して決めてください。
この記事は、民法の共有の決まりを法務省と裁判所の資料で確かめ、取れる道を4つに整理したものです。法律の結論(自分の場合にどの手続きが使えるか)は書いていません。個別の判断は、下の相談先で確かめてください。
共有者の同意がなくても、何ができますか?
自分の持分を手放すことはできますが、家全体を売ったり大きく作り替えたりすることは、一人ではできません。法務省の資料では、共有物の扱いは次のように分かれています。
| したいこと | 必要な同意 | 出典 |
|---|---|---|
| 共有物に変更を加える(例: 農地を宅地にする) | 共有者全員の同意。形や効用が大きく変わらない「軽微変更」は持分の過半数 | 法務省(民法251条・252条) |
| 管理に関する事項(変更に当たらないもの) | 持分の過半数。共有者の1人が住んでいても同じ | 法務省(民法252条1項) |
| 家と土地の全体を売る | 全員がそれぞれの持分を売ることになるため、全員の同意が要る | 当サイトの整理(買取業者の公式サイトも同じ説明) |
| 自分の持分だけを売る | ほかの共有者の同意は要らない | 買取業者2社の公式サイトの案内 |
2023年4月1日からは、所在が分からない共有者がいる場合は管理と変更を、賛否を明らかにしない共有者がいる場合は管理を、裁判所の決定を得たうえで残りの共有者だけで決められる仕組みもできました(法務省)。ただし、この仕組みで決められるのは管理や変更で、全体の売却をそのまま進めるものではありません。売却に近い道は、次の節の「所在等不明共有者の制度」です。
遺産分割は済んでいますか?
どの手続きを使えるかは、相続した持分の遺産分割が済んでいるかで変わります。遺産分割がまだで相続人どうしが共有している状態(遺産共有)だと、話し合いの場は家庭裁判所の遺産分割の手続きになり、所在等不明共有者の制度にも「相続開始から10年」の条件が付きます(裁判所・法務省)。登記事項証明書で名義を確かめ、遺産分割協議書があるかを家族に確かめておくと、相談が早く進みます。名義の確かめ方は相続した実家で最初にやる手続きにまとめています。
兄弟が反対・連絡が取れないとき、どんな道がありますか?
道は4つあります。時間と費用が軽い順に並べると、次のとおりです(順番は当サイトの判断)。
- 話し合う: 売った場合の価格の見込みを全員で共有し、全体で売るか、誰かが持分を買い取るかを話し合う。
- 自分の持分だけを売る: 同意は要らないが、兄弟は買った業者と共有することになる。
- 所在等不明共有者の制度を使う: 誰か分からない、または所在が分からない共有者がいる場合に、裁判所の決定でその持分を取得する、または全体を第三者に売る権限を得る。
- 裁判所で分ける: 遺産分割が済んでいなければ遺産分割調停・審判、済んでいれば共有物分割の裁判。
1. 話し合う
反対の理由が「安く売られたくない」「住み続けたい」なら、価格の見込みが分かるだけで話が動くことがあります(当サイトの考え)。誰かが住み続けたい場合は、その人がほかの共有者の持分を買い取る形も選択肢です。家族で話し合うときの材料の集め方は、相続した実家はどうする?に書いています。
2. 自分の持分だけを売る
同意を待たずに進められる道です。何が起きるかは持分だけを売ると何が起きるかで詳しく書きます。
3. 所在等不明共有者の制度を使う(2023年4月から)
共有者の中に、誰なのか分からない人や所在が分からない人がいる不動産で使える制度が2つあります(民法262条の2・262条の3)。申し立て先は、どちらも不動産の所在地を管轄する地方裁判所です(東京地方裁判所の案内)。
| 比べる点 | 持分の取得(262条の2) | 持分の譲渡の権限付与(262条の3) |
|---|---|---|
| 何ができるか | 所在等不明共有者の持分を、申し立てた共有者が取得する | 所在等不明共有者以外の全員が持分を第三者に譲渡することを条件に、所在等不明共有者の持分も譲渡する権限を得る(全体を第三者に売る形) |
| お金 | 裁判所が、所在等不明共有者の持分の時価相当額を考えて決めた金額を供託する | 裁判所が、不動産全体の時価相当額と持分の割合などを考えて決めた金額を供託する |
| 遺産分割が済んでいない持分 | 相続開始から10年以上たっていることが必要 | 相続開始から10年以上たっていることが必要 |
東京地方裁判所は、持分の取得の申立てについて、申立手数料は収入印紙1,000円(持分の数と申立人の数で増える)、予納金は7,134円から、郵便切手は6,000円分(共有者などが1人増えるごとに2,178円分を追加)と案内しています。添付書類として、不動産鑑定書(または簡易鑑定書)や、共有者を探した結果の報告書なども挙げています。ほかの裁判所では額が違うことがあるため、物件がある地域の地方裁判所で確かめてください。
連絡が取れないだけで所在は分かっている(住所に手紙は届くが返事がない)場合は、この制度の対象になるかがはっきりしません。自分の場合に当たるかは、弁護士・司法書士に確かめてください。
4. 裁判所で分ける
- 遺産分割が済んでいない: 家庭裁判所の遺産分割調停を使えます。申し立て先は相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所で、費用は被相続人1人につき収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。調停がまとまらなければ自動的に審判に移り、裁判官が一切の事情を考えて決めます(裁判所)。
- 遺産分割が済んで共有になっている: 裁判所に共有物の分割を求められます。分け方は、物理的に分ける方法(現物分割)、1人が代金を払ってほかの人の持分を取得する方法(賠償分割)があり、どちらもできないときに競売で売って代金を分ける方法になる、と2023年4月施行の改正で順番がはっきりしました(法務省。民法258条)。相続開始から10年がたっている場合は、遺産共有の部分もこの裁判の中で分けられることがあります(民法258条の2)。
4つの道の中では、裁判所の手続きにいちばん時間と手間がかかると考えておきます(当サイトの考え)。どの手続きを使うかは、ここで決めずに専門家と決めてください。
自分の持分だけを売ると、何が起きますか?
自分は共有から抜けられますが、兄弟は、持分を買った業者と共有する形になります。持分の買取を扱う業者の公式サイトは、次のように案内しています(2026年10月25日に確認)。
- ワケガイ: 共有者全員の同意がなくても、自身の持分だけなら売却できる。共有者と連絡が取れない場合やトラブルがある場合も買取可能。
- クランピーリアルエステート: 共有持分だけなら、一般的な不動産と同じように自由に売却できる。全国の物件に対応。
- 訳あり物件買取ナビ(AlbaLink): 自分の共有持分だけを売る方法なら、ほかの共有者に知られずに進められる。
売る前に考えておくこと
- 兄弟との関係: 業者は買った持分をもとに、残りの共有者に持分の売却や共有物の分割を持ちかけることがあります(当サイトの整理)。兄弟にとっては、知らない会社から連絡が来る形になります。ワケガイのよくある質問は、持分だけの売買なら本人が伝えなければ共有者に知られることはないと案内していますが、買ったあとに業者が共有者とどう関わるかは、査定のときに聞いてください。黙って売るか、先に伝えるかは、関係を考えて自分で決めてください。
- 価格: 持分だけでは、買った側も家を自由に使えません。持分の買取価格は「家全体の価格×持分の割合」と同じになるとは限らない、と考えておきます(当サイトの考え)。比べるには2〜3社の査定が要ります。
- 名義: 相続登記がまだでも相談はでき、相続登記が済み次第の引き渡しで先に契約できる、とワケガイのよくある質問に書かれています。相続登記は2024年4月1日から義務で、取得を知った日から3年以内です(法務省)。
公開事例: 共有者と長く連絡が取れず、持分だけを売った例
クランピーリアルエステートが共有持分のページで公開している買取事例によると、物件は大阪府高槻市の土地で、売主の持分は1/2です。兄弟と共有していましたが、共有者が長期間連絡の取れない状態で、相続登記も途中のままでした。売主は自分の持分だけを同社に売り、ページに表示されている買取価格は6,200万円です。1社が公開している1件の事例で、価格は土地の場所と広さで大きく変わります。持分を売ったあとの共有者との関係は、ページには書かれていません。
出典: クランピーリアルエステート「共有持分の買取」(買取事例)(2026年10月25日に確認)
持分を買う業者を選ぶときのチェック
- 宅地建物取引業の免許: 公式サイトの会社概要で免許番号を確かめ、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、宅地建物取引業者として載っているかを確かめる。
- 共有持分の買取を公式サイトで明記しているか: 専用のページや買取事例があるか。
- 買ったあと、残りの共有者にどう連絡するか: 査定のときに聞く。答えを書面かメールで残しておく(当サイトの考え)。
- 契約不適合責任の扱い: 売ったあとに不具合が見つかったときの売主の責任を、免除する特約が契約書に入るか。
- 売主が負担する費用: 測量・登記・残置物の処分などの費用を、誰が負担するか。
- 断った場合に費用がかからないか。
ほかの業者とも比べたい場合は、訳あり物件の買取業者の比べ方に、共有持分への対応を4社の公式サイトで並べた表があります。
誰に相談すればよいですか?
相手との交渉や裁判の手続きを任せたいなら弁護士、登記の手続きなら司法書士、費用が心配なら法テラスの無料法律相談から、と分けるのが目安です(当サイトの整理)。
| 相談したいこと | 窓口 | 出典 |
|---|---|---|
| 兄弟との交渉、遺産分割調停、共有物分割の裁判、所在等不明共有者の申立て | 弁護士 | — |
| 相続登記、持分を売ったときの登記 | 司法書士(日本司法書士会連合会の相続登記相談センター 0120-13-7832、平日10時〜16時。年末年始・お盆期間を除く) | 法務省 |
| 費用を抑えて法律の相談をしたい | 法テラスの無料法律相談(収入と資産が一定の基準以下の人が対象。1回30分、同じ問題で3回まで。法テラスと契約している弁護士・司法書士が担当)。問い合わせは法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時) | 法テラス |
| 持分を売った場合の価格 | 共有持分の買取を扱う業者の査定(2〜3社) | — |
相談のときは、登記事項証明書、固定資産税の通知書、遺産分割協議書(あれば)、共有者とのやり取りの記録を用意しておくと話が早く進みます(当サイトの考え)。
持分の査定を頼むと、まだ決めていないのに売る前提で話を進められないかと迷っている人へ
売るかどうかを決める前に、自分の持分がいくらになるかだけを確かめられます
- 費用
- 査定は無料。価格や条件が折り合わず買取に至らなかった場合も、費用はかかりません
- かかる時間
- 申込フォームは「60秒でカンタン入力」
- 分かること
- 持分の買取の査定金額。相談から3営業日以内に提示されます
- 申込後の連絡
- 「しつこい営業は行いません」と公式サイトに書かれています。査定だけでもよいかという質問には「大丈夫です」と答えています
向いている人
- 兄弟が売却に反対していて、話し合いでは進まない
- 共有者と連絡が取れず、裁判所の手続きより先に持分だけで手放したい
- 共有から抜けたあとの兄弟との関係を、自分で考えたうえで決めている
向いていない人
- 共有者と話し合える(→ まず全員で全体を売るか、誰かが持分を買い取るかを話し合う。相続した実家はどうする?)
- すでに法的な争いになっている、相手に弁護士が付いている(→ 先に弁護士・法テラスへ)
- 持分の土地が山林や田畑など宅地として使えない(→ ワケガイは買取が難しい場合があると書いています。ほかの業者の対応表も見る)
上の内容はワケガイの公式サイトとよくある質問に書かれていることです(2026年10月25日に確認)。契約不適合責任の扱いは、確認した公式ページには書かれていないため、査定のときに聞いてください。持分の価格は業者で変わるため、クランピーリアルエステートや訳あり物件買取ナビなど、ほかの業者の査定とも比べてください(各社の共有持分への対応は訳あり物件の買取業者の比べ方)。
出典
- 法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」(共有物の変更・管理、共有物分割、所在等不明共有者の持分の取得・譲渡。2026年10月25日に確認)
- 法務省「民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要」(所在等不明共有者・賛否不明共有者がいる場合の管理・変更、施行日。2026年10月25日に確認)
- 法務省民事局「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」(令和3年12月)(施行日。2026年10月25日に確認)
- 東京地方裁判所「所在等不明共有者持分取得申立てについて」(2026年10月25日に確認)
- 東京地方裁判所「所在等不明共有者持分譲渡の権限付与の申立てについて」(2026年10月25日に確認)
- 裁判所「遺産分割調停」(2026年10月25日に確認)
- 法務省「相続登記の申請義務化について」(相続登記相談センターの案内を含む。2026年10月25日に確認)
- 法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」(2026年10月25日に確認)
- 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」(2026年10月25日に確認)
- ワケガイ(公式)(2026年10月25日に確認)
- ワケガイ「共有持分・共有名義の買取」(2026年10月25日に確認)
- ワケガイ「よくある質問」(2026年10月25日に確認)
- クランピーリアルエステート「共有持分の買取」(2026年10月25日に確認)
- 訳あり物件買取ナビ by AlbaLink(公式)(2026年10月25日に確認)