屋根修理に火災保険が使えると言われたら:よくあるトラブルと確かめ方

台風や大雪のあとに、「火災保険を使えば屋根の修理が自己負担なしでできます」という訪問や電話を受けて、本当なのか迷っていませんか。この記事では、保険が使えるかを誰にどう確かめるか、業者との契約で何に気をつけるか、契約してしまったらどこに相談するかを順に書いています。
この記事の結論
- 保険が使えるかどうかは、勧誘してきた業者ではなく、自分が加入している保険会社か代理店に確かめるものです。業者の「無料で直せる」は、保険金が出る約束にはなりません。当サイトも、保険が使えるかどうかは判断しません。
- 業者と契約する前に、自分が加入している保険会社か代理店に相談してください(日本損害保険協会・国民生活センター)。同協会は、保険金の請求は契約者自身で行うことができ、手数料はかからないと案内しています。
- 国民生活センターによると、申請サポートの契約では、支払われた保険金の3割〜5割を手数料などとして払うと定められている場合があります。同センターは、うその理由で保険金を請求することは絶対にやめるよう呼びかけています。
- 訪問販売や電話勧誘で契約した場合は、クーリング・オフができる場合があります。困ったら消費者ホットライン「188」へ。
目次(6項目)
「保険で直せる」という勧誘では、どんなトラブルが起きていますか?
手数料の説明がないまま契約した、解約しようとしたら高い違約金を求められた、保険金が出たのに工事が始まらない、といった相談が寄せられています。国民生活センターと日本損害保険協会は、この勧誘について何度も注意を呼びかけています。
- 国民生活センターが2020年10月1日に公表した資料では、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスの相談は、2010年度の111件から2019年度の2,684件に増えています。
- 日本損害保険協会によると、住宅修理サービスのトラブルの相談は、2021年度に5,093件と、5年前(1,640件)の約3倍になりました。
- 国民生活センターが2023年10月11日に公表した資料では、屋根工事の点検商法の相談は2022年度に2,885件で、過去5年で最も多く、相談の契約当事者の8割超が60歳以上でした。典型的な勧誘トークの一つに、保険金が使えるなどと言って費用の負担が軽くなるように思わせるものが挙げられています。
相談事例に出てくる型
国民生活センターの資料(2018年9月6日公表)に載っている事例の見出しは、次のとおりです。
- 申込時に手数料に関する説明がない
- クーリング・オフをしたところ、手数料は支払うようにいわれた
- 保険金が少なくすぐに工事を頼めないと言ったら違約金を請求された
- 保険金が支払われた後、事業者が修理工事を始めない
- うその理由で保険金を請求すると言われた
- 修理の必要がないのに、不具合があるかのように言われた
公開事例: 保険金の30%の報酬で契約し、報酬の高さに疑問を持った例
日本損害保険協会が紹介している事例(2020年受付、40歳代男性、関東地方)によると、相談者は「完全成功報酬型で、保険金が支払われた時にのみ保険金の30%を請求する」と説明されて、保険金の請求を代行する業者と契約しました。保険金が100万円支払われた後、修理費が70万円では足りないと言われ、報酬の高さに疑問を持ったとされています。同協会は、ほかにも、電話で「負担額なく屋根の修理ができる」と勧誘されて契約書に印鑑を押したところ、書面を業者が持ち帰って手元に残らず、「当社で工事をしなかった場合は、保険金の4割を支払ってもらう」と言われて、解約を望んでいる事例(2018年受付、80歳代男性)を載せています。
出典: 日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」(2026年10月25日に確認。ページの更新は2026年7月31日)
保険が使えるかは、誰に、どう確かめますか?
自分が加入している損害保険会社か、契約をした代理店に、業者と契約する前に自分で問い合わせます。日本損害保険協会も国民生活センターも、まず保険会社や代理店に相談するよう呼びかけています。当サイトは保険の募集や、保険が使えるかの判断をしません。
日本損害保険協会は、保険金の請求は保険契約者自身で簡単に行うことができ、手数料はかからないと案内しています。また同協会のページには、自然の消耗や劣化、性質によるさびなどで生じた損害は支払いの対象にならない、と書かれています。古くなった屋根の傷みと、台風などで壊れた部分とでは扱いが違う可能性があるため、自分の契約でどうなるかは保険会社に聞いてください。
保険会社・代理店に聞くこと
次は、問い合わせのときに聞いておくと話が早い項目です(当サイトの整理。保険会社の案内に従ってください)。
- 自分の契約で、屋根や外壁の損害は補償の対象になっているか(どんな原因の損害が対象か)
- 保険金を請求する手続きの流れと、必要な書類(修理の見積書・被害の写真など)
- 修理の見積もりを、どの業者に頼めばよいか。保険会社が損害を確かめに来るか
- 請求できる期限
- 業者から「保険で直せる」と言われたことと、その業者の名前
保険証券(契約の内容が書かれた書類)を手元に置いて電話すると、確かめやすくなります(当サイトの考え)。
「請求の期限が迫っている」と言われたら
国民生活センターは、請求期限が迫っていると言われても、勧誘をうのみにせず、安易に契約しないよう呼びかけています(2022年6月16日公表)。期限は自分の保険会社に確かめられます。業者の言う期限に合わせて、その場で契約を決めないでください。
申請サポート(代行)の契約では、何を見ればよいですか?
手数料・解約したときの支払い・工事の契約とのつながりの3つを、署名する前に書面で確かめます。国民生活センターは、支払われた保険金の3割〜5割の手数料など(コンサルティング料、申請サポート料、違約金などの名前の場合もある)を事業者に払うと定められている場合があり、保険金の請求のサポートだけの契約でも、保険金から3割〜5割の手数料などを求められる、としています。
| 見ること | 注意喚起に出てくる例 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 手数料 | 支払われた保険金の3割〜5割を手数料などとして払う定め(国民生活センター) | 何に対して、保険金の何%か、いつ払うかを書面で読む。保険金の請求は契約者自身でも行え、手数料はかからない(日本損害保険協会) |
| 解約・工事をしないときの支払い | 「工事をしない場合は違約金として保険金の5割を支払う」と書かれていた事例(国民生活センター) | 違約金・解約料の条項があるか。保険金が少なかったときに工事を断れるか |
| 工事の契約とのつながり | 保険金が支払われた後、工事が始まらない事例(国民生活センター) | 申請のサポートと修理の工事が同じ契約か。工事の内容・金額・時期が書かれているか |
うその理由での申請に加担しない
国民生活センターは、うその理由で保険金を請求することは絶対にやめるよう呼びかけています。相談事例には、業者に「うその理由で保険金を請求する」と言われたものがあります。日本損害保険協会も、注意喚起のチラシで「知らない間に詐欺に加担」と注意しています。古くなって傷んだ部分を台風の被害として申請するよう勧められたら、その業者とは契約しないでください。
契約してしまったら、どうすればよいですか?
訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフ(無条件の解除)ができる場合があります(消費者庁)。対象になるか、8日の数え方、工事が始まった後の扱い、通知の書き方は外壁塗装・屋根工事のクーリング・オフにまとめています。
申請サポートの契約では、国民生活センターの事例に、クーリング・オフをしたのに手数料は払うように言われたものがあります。一人で業者とやり取りせず、契約や手数料の請求のことは消費者ホットライン「188」へ相談してください。日本損害保険協会は、住宅修理のトラブルの相談窓口として「そんぽADRセンター」(03-4332-5241、月〜金曜日の9時15分〜17時。祝日・休日・12月30日〜1月4日を除く)を案内しています。
修理そのものは、どう頼めばよいですか?
修理は、勧誘してきた業者ではなく、自分で選んだ業者に見積もりを頼みます。国民生活センターは、契約を迫られてもその場では契約せず、複数の事業者で比較検討するよう呼びかけています(2022年6月16日公表)。また、突然訪問してきた業者には安易に点検させないよう注意しています(2023年10月11日公表)。
次の順番で進めると、保険の話と修理の話を混ぜずに済みます(当サイトの整理)。
- 保険会社か代理店に、自分の契約で対象になりそうか、手続きに何が要るかを聞く。
- 修理の見積もりを、自分で選んだ2社以上に頼む。保険会社から見積書や写真を求められたら、それを伝える。
- 見積もりは、面積・材料・工事の範囲をそろえて比べる(見積もりで差が出る理由と確かめ方)。
- 保険金が出るかどうかに関係なく、自分で払える金額かを考えてから契約する。
「無料で点検します」と訪ねてきた業者の断り方は、外壁塗装の訪問販売の断り方にまとめています。
自治体によっては屋根の塗装に使える助成金があります(外壁・屋根の塗装の助成金と費用の目安)。
向いている人
- 持ち家の一戸建てで、屋根の修理や塗装を、勧誘してきた業者とは別の業者に見てもらいたい
- 保険会社への問い合わせとは別に、修理の見積もりを自分で集めたい
向いていない人
- 保険の申請サポートの契約や、業者との解約で揉めている最中(→ 先に188・そんぽADRセンターへ)
- 保険金の請求の手続きを代わりにしてくれる業者を探している(→ 下のサービスは修理の見積もりのためのもので、公式サイトに保険の申請についての記載はありません。請求の方法は保険会社に聞いてください)
- 賃貸住宅や分譲マンションの屋根(→ 所有者や管理組合に相談)
外部の公式サイトへ移動します
保険の話をしてきた業者に任せたくないけれど、ほかにどこへ修理を頼めばよいか分からない人へ
勧誘してきた業者とは別の、屋根の工事をする複数の業者から見積もりを取れます
- 費用
- 相談、業者の紹介、現地調査、見積もりまで、すべて無料
- かかる時間
- 申し込みにかかる時間は、公式サイトに記載がありません
- 分かること
- 紹介された複数の業者による見積もり(紹介する社数は、公式サイトに記載がありません)。屋根工事・雨漏り修理・屋根塗装・防水工事などが対象として挙げられています
- 申込後の連絡
- 専属のアドバイザーから電話かメールで、建物の状態を聞く連絡があります。断るときは、アドバイザーが代わりに業者へ連絡する「お断り代行制度」があると公式サイトに書かれています
上の内容は、外装工事ヒカークの公式サイトに書かれていることです(2026年10月25日に確認)。保険金の請求は、見積もりとは別に、自分で保険会社に問い合わせてください。
出典
- 国民生活センター「「保険金を使って住宅を修理しませんか」がきっかけでトラブルに!」(2018年9月6日公表)(2026年10月25日に確認)
- 国民生活センター「「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」(2020年10月1日公表)・報道発表資料(PDF)(2026年10月25日に確認)
- 国民生活センター「被災地域は特に注意!災害後の住宅修理トラブル」(2022年6月16日公表)(2026年10月25日に確認)
- 国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日公表)(2026年10月25日に確認)
- 日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」(2026年10月25日に確認)
- 日本損害保険協会「あなたの保険金が狙われています!」(2026年10月25日に確認)
- 日本損害保険協会「2023年度版住宅修理サービストラブル注意喚起チラシの作成について」(2023年8月17日)(2026年10月25日に確認)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問販売・電話勧誘販売(2026年10月25日に確認)
- 消費者庁「消費者ホットライン」(2026年10月25日に確認)
- 外装工事ヒカーク(公式)(2026年10月25日に確認)